はじめに

本システムを用いることで、これまで図書館へ利用者が足を運び行っていた図書目録カードの検索を、ウェブを通して行うことができます。 これにより、たとえば研究室や自宅にいながら目録カードの情報を得ることができます。 本システムによって、OPAC検索のできないような古い書誌情報の検索が可能となりました。


なぜ本システムが必要なのか

インターネットの爆発的な普及によって、実に膨大な情報がネットワークを通じて入手できるようになりました。 このような情勢を受けて、本附属図書館を始め、全国の図書館で所蔵している書物や資料等の図書に関する書誌情報の検索サービスが行われています。 特にOPACによる検索は広く利用されており、定番のツールとして認知されています。

しかし、OPACシステムで検索可能な書誌情報は比較的最近のものに限られてしまいます。 特に本館のような歴史の長い図書館では、過去何十年にも渡って膨大な図書が蓄積されており、 それらの書誌情報は図書目録カードとして蓄積されています。 しかも、その大部分はOPAC検索のできる電子情報として入力されていません。

これらの情報を遡及入力し、電子的検索を可能とすることは図書館にとって重要な問題です。 しかしながら、今後遡及入力すべき目録カードの数は膨大です。 全国の大学附属図書館全体では3500万件余りと見積もられており、 九州大学附属図書館に限っても約161万件にも上ります。 これに対処するために、現在、学術情報センター(NACSIS)が中心となり、 全国の図書館が分担して遡及入力が進められています。 ある図書館で入力された情報はNACSISのデータベースに蓄積され、 別の図書館で入力するときにはこのデータベースを参照することで二重登録を避けるようになっています。

それでもなお、遡及入力は手作業に頼らざるを得ないという問題が残ります。 手作業による入力には、カード情報を1件入力するのに数百円のコストがかかります。 最近のある例では、1件につき462〜1942円、平均で810円と見積もられています。 このデータによると、全ての目録カードを入力するためには、全体で280億円程度が必要です。 本学附属図書館に限っても、約13億円もの費用がかかる計算になります。 また、遡及入力には特別な訓練を受けた人が必要であり、そのような訓練を受けた入力者の数も不足しています。本学の場合、年間約7万件を入力することが限度であり、したがって遡及入力の完了までに20年以上もの年月がかかると試算されました。 これは図書館サービスの電子化を推進するための大きな障害となっています。

本システムは、このような状況を改善し、少しでも早く図書目録カード検索の電子化を実現させることを目指しています。 遡及入力の終了を待たずにウェブによる書誌情報検索を実現することを目指して開発が始まりました。 そのために、まず、現存する目録カードをスキャナ入力し、目録カードを画像としてデータベース化しました。 画像としての入力コストは、カード1枚につき10〜20円程度です。 これは手作業による入力の数十分の1です。 これにより、全ての目録カードの入力を行うための経費が手作業での13億円程度に対して、2〜3千万円程度で済むことになりました。

このように画像として入力された目録カード情報は次のような使い方ができます。

ウェブ上での検索:
本システムはウェブ上での検索を実現しています。 図書目録カードを画像としてウェブ上で検索することで、利用者は図書館に足を運ぶことなくOPAC検索のできない目録カードを検索することができるようになります。
遡及入力の支援:
入力された画像を見ながらそのカードのOPAC情報を入力することができるようになります。 これにより遡及入力の効率化が図れます。 また、カードとその入力情報を並べて表示できるので、入力に誤りがないかをチェックするのも容易です。 その他、検索に用いられることの多い書名や著者名等の情報を先に入力し、その他の情報は後で必要に応じて入力するなど、書誌情報の入力が柔軟にできます。 さらに、他の書誌情報とのリンクを張ったりカードにコメントを付けたりと様々な機能を追加することが可能となります。 こちらの機能については、現在開発を検討しているところです。

現在のところ、書名目録のデータのみ入力しています。 これは、著者名目録よりも書名目録の方が実際に検索される頻度が高いとの判断によるものです。 著者名目録カードのデータ入力のためにはさらなる費用がかかります。 近い将来、著者名目録も含め、本学附属図書館所蔵全ての図書目録カードを入力し、全ての所蔵書物類についての書誌情報検索が電子化されることを目指します。


謝辞

総合目録のデータは、平成13年度科学研究費研究成果公開促進費(課題番号138078)および平成15年度科学研究費研究成果公開促進費(課題番号158084)により入力されました。